私が医師を志したきっかけ
「どうして医師になろうと思ったのですか?」 これまで、私はこういう質問に何度か遭遇してきた。 「わたしの祖母は目が悪く、眼科に行くときはいつも一緒でした。祖母の目を治すために医師になりました」 以前は当たり障りのないように、こう答えていたが、今考えると真実ではなかったと感じる。...
View Articleダーウィンの進化論(Darwinism)①
「進化論」といえば、サルから類人猿、人間へと段階的に変化していく行進のようなイラストは教科書でも見かけたことがあるだろう。やや必然的で直線的な印象を与える、あの絵は、本来ダーウィンが意図したことではない。 言うまでもなく、生物学における進化論は、チャールズ・ダーウィンの『種の起源』から大きく花開いた。...
View Articleダーウィンの進化論(Darwinism)②
「進化」を語るうえで重要な遺伝子の突然変異は、たまたま遺伝子のミスコピーによって起こるもので、それ自体に「意味」や「目的」などはなく、あくまで「単なるミス」である。 「単なるミス」に、偶然、生存の方向性を与えたのは、その時々の外部環境であり、そこにも「意味」や「目的」はない。つまり、我々の存在に必然性や蓋然性がないかもしれないということだ。...
View Articleホモ・サピエンスはガンなのか?
半数の人は人生で一度はガンになるという。 ガンは制御装置のない増殖能力によって、他の組織へ浸潤あるいは転移して、挙句の果てには宿主であるホモ・サピエンスの命を絶つこととなり、ガン自身も共倒れとなって息絶えてしまう。 医師として、一科学者として、ガンの存在に意味や理由があるのかについては実はあまり興味がない。 唯一私が気になるのは、地球にとって我々ホモ・サピエンスはガンなのか?ということだ。
View Articleゼレンスキーの戦略
「1対1では絶対敵わない」、圧倒的な国力や資金力、戦力格差をバックグラウンドとしてウクライナでの紛争は始まった。 当初は、数日でケリがつき、首都陥落やゼレンスキー大統領の暗殺、あるいは国外逃亡などのシナリオも多くあった。...
View Articleプーチンの戦略
プーチンは良くも悪くも、いろいろな意味で賢明だ。 彼の人生は、ソビエト連邦の崩壊を目の当たりにしてきた。自国の領土が分裂、縮小し、冷戦時代の世界のリーダー争いから転落する様はさぞかし悔しく、歯がゆいものであったことは想像に難くない。おそらく、ロシアの人々にもそういった思いがあり、強いリーダーを望む声に繋がっているのではないだろうか?...
View Article「働かないアリ」
キリギリスならぬ、「働かないアリ」もいるという。 社会生物学では有名な話だが、この普段は休んでいる「働かないアリ」たちが有事になると突然動き出し、仲間を助け、集団の許容性を高めているのだそうだ。 まるで、冴えないサラリーマンがピンチに大活躍し、人々を救うスーパーマンのように。 これは、行き過ぎた効率化のために冗長性が失われた社会が、予期せぬ災害や疫病流行に対応できないことの理由のひとつかも知れない。...
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